June 21, 2018

    特集 海上保安庁特殊警備隊(SST)

      特殊警備隊とは?

     

    特殊警備隊(SST)
    平成22年度観閲式及び総合訓練より特殊警備隊、通称SST(Special Security Team)とは海上保安庁が保有する特殊部隊です。関西国際空港建設現場の警備にあたっていた関西空港海上警備隊と、1992年にフランスからプルトニウムを輸送した「あかつき丸」に警備のために乗船していた部隊が元となって設立されました。現在は関西国際空港島にある第五管区の大阪特殊警備基地に配属されています。対応する事案としては、シージャック、プルトニウムなどの重要な護衛任務、不審船事案対応、核拡散防止のための臨検などのほか、船舶内で発生した暴動の鎮圧、海賊対応、海外での邦人保護、覚醒剤密輸の取り締まり、密航の摘発などを行っているといわれています。主に中国の蛇頭や日本の暴力団が絡んだ覚醒剤密輸の取り締や密航の摘発への出動回数も多く、実戦出動回数としては日本の特殊部隊の中で最多を誇り、日本最強の特殊部隊と言っても過言ではありません。その実力はPSI(拡散に対する安全保障構想)合同演習で放射性物質密輸容疑船の制圧を担当するなど、世界からも認められています。そのため現在では密航や密輸などの抑止力として大きな効果を発揮しています。よくニュースなどで「武装した海上保安官」と呼ばれているのが特殊警備隊と思われます。特別警備隊と区別するため、SSTと略称で呼ばれることが多いようです。

     

      特殊警備隊の概要
    部隊編成
    第一特殊警備隊から第七特殊警備隊までの7個隊編成といわれています。この中には科学防護、爆発物処理を担当する部隊もあります。
     1個特殊警備隊編成
     隊長 二等海上保安正  副隊長 三等海上保安正  隊員(先任・新人) 6名 計8名主要装備
    ・自動小銃・短機関銃

    H&K MP5M489式自動小銃

    製造国:ドイツ(旧西ドイツ)
    メーカー:ヘッケラー&コッホ社
    口径:9mm世界中の軍・警察の特殊部隊などで絶大な信頼を寄せられている短機関銃。メーカーによる繊細なメンテナンスを必要とするため、政府系機関でなければ使用するのが非常に難しい。
    製造国:アメリカ
    メーカー:コルト社
    口径:5.56mm近年特殊部隊用として注目を浴びてきたカービン銃。弾丸の直進性がよく、小回りがきくため、アメリカ軍の特殊部隊などで採用されている。
    製造国:日本
    メーカー:豊和工業
    口径:5.56mm世界の自動小銃と比べても遜色のない国産の自動小銃。主に自衛隊で使用されている。銃床固定タイプと折りたたみタイプがある。
    • ・9ミリ短機関銃(国産・ミネビア社製、自衛隊でも使用しているが、性能に大きな問題があり、
    •  訓練で年数回使用されるのみ。)
    • ・拳銃
    •  シグ・ザウエルP228 (スイス・ドイツ製の自動拳銃。世界中の治安機関などで使用されている。)
    •  S&W(種類不明)
    • ・狙撃用ライフル
    • ・M870ショットガン
    • ・特殊警棒
    • ・音響閃光弾(大きな音と光で一時的に犯人の動きを止めるもの)
    • ・サーブ340B(特殊警備隊輸送専用航空機)
    • ・ユーロコプターEC225(特殊警備隊輸送専用ヘリコプター)

    訓練
    訓練については、アメリカ海軍の特殊部隊SEALsから射撃から狙撃、接近格闘術、リペリング降下、ファストロープ降下など特殊部隊として必要な指導を受けたことが判明しています。その際にはかなりの高評価を得たようです。またサッカー日韓ワールドカップの際には韓国海洋警察特攻隊などとの共同訓練も行っています。大阪特殊警備基地内に専用の訓練設備を持つほか、全国各地の航空基地などを巡ってヘリコプターとの連携訓練をしています。
    また装備品の開発にも力を入れており、独自の降下器具なども開発しています。

    作戦
    ヘリコプターからリペリング(ヘリから降ろされたロープを使って滑り降りる)による降下、巡視艇、高速艇などによる強行接舷、気泡が出ない循環式潜水器を使用した潜水による接近などによって対象船舶に乗り込み、上記装備等を使用して犯人を制圧します。突入に際しては、公開されている限り自動小銃4名、拳銃4名の編成をとることが多いようです。また任務によっては特別警備隊の支援を受ける場合もあります。基本的に2人一組で行動します。

    東南アジアの教官
    世界有数の特殊部隊としての能力を有するまでになった特殊警備隊は、現在では教官としてフィリピンやインドネシアなど東南アジア諸国の海上治安機関に対して教育を行っていると言われています。

    ※詳細については公表されていないため、推測の部分が入っています。

     

      判明している主な出来事
    1985年関西空港海上警備隊創設
    1988年ソウルオリンピック時のシージャックを警戒して日本~韓国間のフェリーに関西空港海上警備隊が警乗する。
    1989年東シナ海で発生したパナマ船籍の船の暴動発生に対して関西空港海上警備隊が出動し、鎮圧する。
    1992年フランスからのプルトニウム輸送船「あかつき丸」に特別な訓練を受けた海上保安官13名が警乗する。
    1996年関西空港海上警備隊とあかつき丸警乗部隊が統合し、特殊警備隊(SST)が創設される。創設に伴い正式に予算が計上される。
    1997年大阪特殊警備基地設置
    1999年能登半島沖不審船事件に出動し、SST隊員が追跡の巡視艇などから威嚇射撃をおこなう。
    東ティモールで発生した暴動に出動。邦人の保護にあたる。
    マラッカ海峡で海賊に襲われ、行方不明となった日本法人の所有する貨物船「アロンドラ・レインボー」の捜索に出動。
    2000年東シナ海の公海上で発生したシンガポール船籍の船の暴動に対して出動。ヘリから降下して暴動を瞬時に鎮圧。
    2001年アメリカ同時多発テロの発生により、横須賀を出航するアメリカ空母「キティホーク」の上空からヘリコプターに搭乗して警備を行う。
    九州南西海域工作船事件に出動。航空機、ヘリと乗り継ぎ、工作船を追跡していた巡視船「はやと」に乗り込んだが、工作船の捕捉作戦には間に合わず。
    2002年日韓サッカーワールドカップ開催時のシージャックに備えて、韓国海洋警察特攻隊との合同訓練を行う。
    2003年オーストラリアで行われたPSI(拡散に対する安全保障構想)合同演習に参加。容疑船の制圧を担当し、参加各国から「Professional」と非常に高い評価を受ける。
    2004年日本主催で行われたPSI合同演習に参加。前年同様の役割を果たす。
    2008年環境テロリスト「シーシェパード」に襲撃されている捕鯨調査船団の「日新丸」等に、SSTと思われる海上保安官が警乗。警告弾を投擲している写真が公表される。

     

      推測の域を出ない情報
    ・1999年の能登半島沖不審船事件で不審船に降下し、北朝鮮工作員と交戦した。
    ・1999年の東ティモールで発生した暴動の際に、上陸して暴徒を蹴散らし、邦人を救出した。
    ・2001年の九州南西海域工作船事件の際に、ヘリコプターで工作船の上空まで到達した。

    参考文献
    海上保安庁特殊部隊SST/坂本新一
    海上保安官/坂本新一
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